「鉄道写真」2005/ふるさと銀河線『名残の夏』



おかげさまで「鉄道写真」2005版も、順調に出版されました。
ここでは巻頭の“ふるさと銀河線『名残の夏』”に関して、誌面には載っていないバックグラウンドを、テクニック中心としてアマチュアの皆さんに披露しますので、撮影の参考にしてください。


表紙
鉄道趣味誌の表紙は、望遠系を用いる場合が多いようですが、ここでは標準系で撮ることにしました。朝の半逆光、ローアングルとしたのは印象を強めるためです。

列車が来る前に腰を落として流し撮りのシュミレーションをしたつもりが、本番ではカメラ位置が2〜3センチ高くなってしまいました。遠方の森が白いボディにかからないようにという意図ですが、ぎりぎり成功です。

本番ではどうしても体が硬くなるもの。皆さんは注意して挑んでください。

流し撮りのシャッタースピードを1/500秒としたのは、下り勾配で列車速度が速いこと、被写体が近いこと、車両が部分的に流れないことの3点から割り出しました。



P.3
タイトルページの写真です。陸別の跨線橋から撮影しています。暗いことと、ぶれやすい縦位置のため、窓にカメラを押し付けるようにして撮影しました。窓枠を三脚代わりにしたわけです。レンズが窓に密着するとヘリコイドが移動して、撮影距離などが変わってしまうことがあるので注意しましょう。

画面の構成は、目に見えるもの全てを入れたくなりますが、全てを入れることは、全てが見えなくなることにも通じるのです。整理することが大事です。


P.4〜5
黄色は麦畑です。茶色になる一歩手前で、菜の花畑と間違えそうな美しさでした。秋には秋の、冬には冬の美しさを発見できるのが俯瞰撮影です。ハイウエー周辺からの撮影ですが、仙美里湖が見える高台をこの後発見。皆さんゲットしてください。


P.6〜7
置戸の町外れです。誰かふさわしい人物は現れないかと待つこと20分でチャンス到来です。連続3枚撮影しましたが、3枚目のとき、背番号1の彼が右を向き、表情が見えました。

カメラアングルを低くしたのは、ダイナミックな構成にしたかったからです。朝の清々しさは、広角系のレンズを用いると表現しやすいと思います。


P.8 上
夏場は水量が少ないため河原から狙えます。普通車でも入れるため、BBQ(バーベキュー)を楽しむ家族連れもいるほどです。

写真は手持ち撮影ですが、列車の現れるのが急なため、三脚を使用したほうが構成に不安は残りません。手前は流木です。


P.9
保線区の方々を取材中、急遽振り返って撮影したものです。彼は単独かと思いましたが、集団下校でした。プリントしたら階段を登る仲間のランドセルが見えました。瞬間的にカメラを傾けて撮影したのは、建造物の古さを否定したくなかったからです。

カメラは常に水平垂直に向けられるように訓練しておくと、意識して斜めにも構えられます。


P.10〜11
今回の取材で気に入った撮影区間は、置戸〜陸別の列車回数の少ない線区でした。撮影した山は大変登りやすく、私は機材を背負っての単独行動でしたが、事故を防ぐために、出来たら複数人数でのトライを薦めます。撮影場所は左右上下に広く、100〜200人くらいは収容可能です。


P.12
ここも簡単に河原に降りられます。車で降りて昼寝をしている人もいます。中州の森が鉄橋を分断しているところが面白いと思いました。カメラの後方には崖があってそこからも狙いたいと、池田側から回りこむように行動しましたが、動物の真新しい足跡と廃屋の不気味さに阻まれて、到達できませんでした。


P.17
並行している道路から簡単に見つけることが出来る踏切です。ここを歩いて渡る人は皆無と思われるのは、畑に通じる道だからです。とてもいい感じなので立ち寄ってみてください。

三脚はこれだ、という構成が決まるまでは使用せず、自由に狙ってみてください。それが上達の秘訣です。


P.18 上  P.19 下 
トップページ同様、陸別の跨線橋からの撮影ですが、500mmで手持ち撮影が出来たのは、窓枠を三脚代わりに利用したからです。そこにあるものを積極的に味方にすることを忘れずに。

反射式レンズに関しては、「鉄道写真」2005に泉が作品と執筆をしています。参考にしてください。


P.18 下
夏草の向こうにあるのが朝のプラットホームです。通勤客が4〜5人欲しいと思ってカメラをセットしましたが、皆無。想像以上に沿線人口は少ないのです。ここでは全てにピントがくるように、パンフォーカスを利用しています。


P.19 上
置戸町内の線路際です。画面の下に山の稜線を入れるか否か迷いましたが、現実感が薄れてはならないと入れることとしました。町民が丹精込めて咲かせているため、訪れる季節が変われば、また違った花にお目にかかれます。

ピントをどこに合わせるかは、撮影者次第。なお、掲載の写真はすべてノートリミングです。


P.20〜21
この駅の利用者は、北見の学校に通う彼しかいません。まさかと思うかもしれませんが現実です。

写真は夕方の撮影です。原画はもっと暗いのですが、印刷機械がオートになっていたのでしょうか? 明るい刷り上がりに仰天しました。

銀河線の駅は町に直結しているところは場違いと思われるほど立派ですが、他はこのようにか細いものです。待合室はないほうが普通です。


P.22
この写真も昼間のような明るさに印刷されましたが、朝の斜光線で捉えたもので、全体を暗く印象的にまとめています。白い倉庫が、かつての冷蔵車のようで、そこに面白さを感じて強調しました。現地へ行ったら露出をアンダー目にして狙ってみてください。暗さの中に浮いた白に、油絵のような質感が出て、すごく印象的な画面が出来上がるはずです。トライしてください。




池田〜北見140キロの沿線には、魅力的なところは限りなくあります。

その中のトップは足寄駅のタワー。
階段を登った展望がなかなかいいですよ。
町並みと列車の撮影は、雪晴れがベストかもしれません。



広田尚敬







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第5回コラム:『鉄道写真2004』発売真近
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第10回コラム:「鉄道写真」2005の編集が始まりました。
第11回コラム:夏のある日








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